「新型インフルエンザ」
~ 海外在住者の対応策 ~

日本人メディカルビレッジ
代表 相原 元一

1.海外在住者の対応策
 日本におきましても、新型インフルエンザの流行宣言があり、患者数も推定15万人を超えたといわれています。5300万人分を用意するといわれていたワクチンは、11月までに1700万人分の備蓄であり、不足分は海外からの輸入となります。したがって11月からのワクチンの接種順位は、感染すると重症化する乳幼児、妊婦、慢性疾患患者【糖尿病、ぜんそく、腎臓病など】から、そして医療従事者と決定いたしました。

 韓国の新型インフルエンザのワクチンの備蓄の予定は、年内に韓国産の500万人分を、そして輸入分の800万人分を加え、1300万人分の備蓄を予定しています。

 ただし、ワクチンの効用は完全ではなく、ワクチンによる免疫の定着率は、感作効率の高い10代の方でも80%程度であることも忘れてはいけません。また2回の接種が必要です。

 日本では、9月現在、死者が10名出ましたが、高齢の重症の糖尿病、肺炎の患者様であり、感染者は17歳までの若年層が半数を占めており、健康な方はタミフル、リレンザを服用し、家族に感染させないように、部屋にこもって寝ていれば3-4日で熱が下がる程度の弱毒性のインフルエンザです。ただし外出は、熱が下がっても48時間後にしてください。

予防法として

① マスクの着用。
② 手洗い、うがいの励行。
③ 頻繁な部屋の空気の入れ替え。

が、原則です。部屋の空気の消毒に有効なものとして大幸薬品のCleverin Geiを、またウイルス対応空気清浄機の使用をお勧めします。

具体的な対策としては、

(1)治療薬(タミフル、リレンザなど)の備蓄。

  新型インフルエンザの症状[38度以上の高熱、筋肉痛、呼吸器症状、消化器系症状など]が、発症した際は、48時間以内[ウイルスの増殖が始まっていない時期]の治療薬の投与が必要となります。したがって最小限のタミフル、リレンザを備蓄し、パンデミックな流行時に治療薬の入手ができないという事態は、避けなければなりません。

 ただしタミフルの小児の服用時には、異常行動の副作用があることも、ご了承ください。


(2)マスクの備蓄。

 流行時には、マスクの確保が困難になります。事前に家族の1週間分は備蓄してください。目的は、感染時に、せき、くしゃみでウイルスをまき散らさないことにあります。ウイルスの吸い込みを防ぐマスクは、[N95対応]と呼ばれ、特殊なマスクになりますが、日本のメーカーで不繊維製のものが発売されています。

(3)外出先から帰宅時の注意。

 室内にインフルエンザウイルスを持ちこまないように、帰宅時、すぐの手洗い、うがい、アルコール製剤による髪の毛の清拭、衣服の塩素系漂白剤による消毒をお勧めします。

(4)食料の備蓄。

 新型インフルエンザの感染時には、発症してから3-4日間は自宅での安静が必要です。そして解熱してからも48時間の外出の自粛が求められます。したがって家族全員に感染した場合、買い物に行くことができません。余裕を持って2週間分の食料の備蓄をお勧めします。

2.乳幼児のインフルエンザ脳症

 ワクチン接種の順位の上位に乳幼児が入っている理由は、インフルエンザ脳症にあります。1―5歳の乳幼児にインフルエンザが引き金として引き起こす疾患で、死亡率が10%を超え、治癒しても脳性マヒなどの後遺症が残ることがある怖い病気です。しかしワクチンは有効であり、死亡率は格段に減少いたします。

 症状は、意識障害、全身けいれん、急な発熱で、症状の進行が非常に急です。症状の似ている疾患として、細菌性髄膜炎、ライ症候群があり、非ステロイド性消炎剤、アスピリン系の解熱剤を使ってはいけないなど注意しなければならない点もあり、日常と比べ異常を感じましたら、早急な小児科の受診をお勧めします。

  また日本においても問題になっていますが、上記の症状に呼吸困難の症状を伴った場合、乳幼児用の人工呼吸器が必要です。新生児用の人工呼吸器を設備している病院は多いのですが、乳幼児用は、大きな病院にも3―5台程度の配備しかありません。新型インフルエンザが本当にパンデミックな流行になった時には、小児科が混雑することを含め、この点も懸念されております。

 ちなみに、日本人メディカルビレッジの提携病院であるカトリック大学江南聖母病院には、3台の乳幼児用の人工呼吸器が配備されています。また日本語職員を中心に日本人の患者様の治療の準備はすべて整っています。今後を踏まえ、江北のセブランス病院の情報も取得中です。

 今後、新型インフルエンザがどのような流行になるのかわかりませんが、乳幼児のご父兄におかれましては、お子様に異常が見られた時にどこの病院へ、またどのように行動すべきかを、シミュレーションなさることをお勧めいたします。

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