「日韓交流おまつり2016」

おまつり運営委員会名誉委員長
SJC名誉顧問
高杉 暢也

●今年の「おまつり」の狙い

昨年の「日韓国交正常化50周年」を経て、新しい日韓の未来を築く第一歩の年として、「東京のおまつり」と合意のうえ「一緒に作ろう 新しい50年」をスローガンに掲げ、両国の次世代を担う若者を中心におく「おまつり」にすることを主眼にしました。
また、「おまつり」の顔であるポスターも若者の意見、提案を尊重して一新しました。

●今年の「おまつり」の運営とプログラム

  • (1) 様々なジャンルの公演並びにパフォーマンスの演出
  • (2) 公演の量より質を考慮
  • (3) 十分なブレークタイムを勘案したプログラムへの配慮

更に「日韓広場」設け、ストリートパフォーマンスのみならず両国の若者の交流を深める「交流の場」も企画しました。単なる「おまつり」のパフォーマンスばかりでなく、地方自治体交流、青少年交流、飲食物、衣服、遊戯具などの各種文化交流をたくさん盛り込みました。

第1部の「公式行事」

ソウル日本人学校とソウル市少年少女合唱団による合同公演でスタートしました。両国の少年少女の穢れのない歌声は会場を埋め尽くす観衆に感動と勇気を与え、将来への希望をもたらしました。
朴三求韓国側実行委員長(錦湖アシアナグループ会長)並びに佐々木幹夫日本側実行委員長(三菱商事特別顧問)の挨拶・開会宣言が声高らかに行われました。尹炳世外交部長官、趙允旋文化体育観光部長官の祝辞、また新しく赴任された長嶺駐韓日本大使、来賓の祝辞の後、特別公演として佐渡・「鼓童」の和太鼓と「キムドクスサムルノリ団」合同公演が力強く演じられました。

  • ソウル日本人学校と
    ソウル市少年少女合唱団による合同公演

  • 「鼓童」の和太鼓と
    「キムドクスサムルノリ」合同公演

第2部「楽しいおまつり」

日本からは ①今年5回目の出演となる「躍動」のダイナミックなパフォーマンス、②レベルの高い多彩な日本伝統舞踊の「菊の会」の 阿波踊り、獅子舞、③韓国でも人気の高い津軽三味線の「吉田兄弟」のテンポの速い演奏、④青森県に古くから伝わり火災予防といわれる「左比代虎舞」のユーモラスな舞、⑤日本アーティストとして初めてノーベル平和賞コンサートに出演した「鼓動」の力強い和太鼓が演じられました。
一方、韓国からは ①韓国の伝統文化を輝く仮面と華やかなパフォーマンスで表現する「グァンタル」の仮面踊り、②韓国文化の根幹となる土俗的な宗教「グッド(原始宗教的なシャーマニズムの象徴)」を基に創られた 「天地人の起源」を 「祥明ハンオルム舞踊団」が優雅に踊り、「楽しいおまつり」の場を盛り上げました。

第3部「楽しい出会い」

日本からは ①次世代を背負う90年代生まれのKRUMP・BREAK・HIPHOP・HOUSE(踊りの種類)の実力派トップダンサーで構成された「The90sJPN」のダンス公演、②若者に人気の出てきた「コスプレイヤー」、③ノスタルジアを感じさせ昔馴染みの音楽を奏でる「栗コーダーカルテット」と日本インディ-ズバンド「ビューティフルハミングバード」の共演、そして韓国からは ①正しいプムセ(姿勢)を基にした作品性と芸術性を兼ね備えた「Legend Movement」による力強いテコンドーパフォーマンス、②トレンディなロック、ポップ、パンク、R&Bが絶妙に調和したサウンドで観客を一瞬にしてとらえる 「Reflex」の 圧倒的なロックパフォーマンスに若者は興奮していました。

特に、②の「コスプレイヤー」は思いのほか若者の人気を博しました。コスプレは英語の「costume play」にちなんでいますが、韓国では公演の前例がほとんどなかったようです。コスプレはコスプレイヤーが自分一人で楽しむのではなく、舞台に立てば公演となり、観客も楽しめる現在の若者向きのパフォーマンスなのです。今回は日本から5人、韓国から3人のコスプレイヤーが舞台に立ち、自己PRをして若者の心をつかんでいました。韓国でもこれから流行るかもしれません。

  • 意外な人気の
    「コスプレイヤー」

  • <スペシャルコンサート>
    「天月(あまつき)」

第4部「楽しむ私たち」

特別公演「天月(あまつき)/J-POP」スペシャルコンサートは驚くほど会場を盛り上げました。彼は動画共有サイトから端を発し、歌唱は、勿論、彼自身の持つ世界観そのものに高い支持を得ているボーカリストですが、韓国の多くの若き男女がSNSを通して彼を一目見たいと一寸の隙間もないほど集まってきたのです。 そして彼の舞台に上がるしぐさ一挙一動にも若い観衆は歓声を挙げて呼応していました。若者の不思議なエネルギーが感じられました。
続く「April/K-POP‘」のスペシャルコンサートも可愛らしく、楽しかったのですが、「天月(あまつき) 」の迫力には及ばなかったようです。

フィナーレ公演の前座として ①SJCを中心とした「よさこいアリラン」舞踊、②大きく羽ばたく「躍動」の舞の後、③新羅時代儒理王の時から由来した風習で、共同作業を通じてお互いの協力と調和を表す民族遊びの「嘉俳(カベ)遊び」が厳かに繰り広げられ、④「サムルノリハンウルリム芸術団」の金徳洙 監督の会場いっぱいに広がる音頭でフィナーレ公演が始まりました。「躍動」の振る旗が大きくなびく中、両国の老若男女が「よさこいアリラン」、「サムルノリハンウルリム」の踊りを会場いっぱいに繰り広げ、今年もまた、ビビンバ状態となり、興奮の渦に巻き込まれました。 交流の歓喜は会場いっぱいに響き、あたかも桜花と無窮花が咲き競うように踊り続けていました。

  • ビビンバ状態となり、
    興奮状態の会場

  • 桜花と無窮花が咲き競うように踊る
    日韓おまつり首脳陣

「日韓広場」と「交流の場」

また、会場に設けた「日韓広場」では各種ストリートパーフォーマンスが繰り広げられ、その都度大歓声が上がっていました。若者の交流を深める「交流の場」では日本人と韓国人がそれぞれに韓服と着物とを交互に着て、写真を撮り合ったりして新たな出会いを楽しんでいました。 単なる「おまつり」のパフォーマンスばかりでなく、企業の展示会も含め地方自治体交流、青少年交流、飲食物、衣服、遊戯具などの各種文化交流が幅広く展開されていました。また、会場内のブースでは各地区の特産物、飲食物、伝統文化、衣服、遊戯などが展示され、体験コーナーはいずれのブースも大賑わいでした。特に、今年の飲食コーナーに盛り込んだ「ラーメン」や「カレー」や「しゃぶしゃぶレタス」などの新しいメニューは大変な人気を博しました。

  • 「日韓広場」で繰り広げられた
    ストリートパーフォーマンス

  • 若者でにぎわう「交流の場」

●おまつりの評価と反省点

今年の「おまつり」には若者を中心に昨年を上回る約6万人の人々が集まりました。
一昨年は尹炳世外交部長官が非公式に会場を訪れ、別所駐韓大使と初対面をしました。昨年は公式に出席され、祝辞まで述べられました。その影響でしょうか政治・外交的雰囲気も良くなり、その後、朴・安倍首脳会談が開かれ、慰安婦問題も妥結に至ったことはご承知の通りです。「たかがおまつり、されどおまつり」ですが、この「おまつり」が両国の友好親善促進に寄与していることを強く感じました。

今年の「おまつり」の成功主要因は以下のようなことが考えられます。

  • (1)当初の狙いの、①様々なジャンルの公演並びにパフォーマンスの演出、②公演の量より質を、そして ③十分なブレークタイムを勘案したプログラムへの配慮が実行できたこと
  • (2)この「おまつり」が、今、必需のSNSなどを通じて若者たちに根付いてきたこと
  • (3)新たに設けた「日韓広場」で各種ストリートパーフォーマンスを繰り広げ、日本人と韓国の若者の新たな出会いの場「交流の場」を作ったこと
  • (4)地方自治体交流、青少年交流にくわえ、飲食物、衣服、遊戯具などの各種文化の体験コーナーに工夫を凝らしたこと
  • (5)飲食コーナーには「ラーメン」や「カレー」や「しゃぶしゃぶレタス」などの新しいメニューを盛り込んだこと・・やはり「おまつり」には飲食が伴わないと雰囲気が出ません。

また、厳しい経済環境の中でこのおまつりの意義を理解し、ご協力いただいた企業や個人が支えてくれていることは言うまでもないことです・・心より感謝申し上げます。
一方、この「おまつり」の事務局体制が盤石でなく、協賛金集めに難を残しています。事務局組織の確立が課題です。
老若男女を問わず、「おまつり」の現場で新しい公演や新しい人に出会うことは楽しいことです。この「おまつり」は究極的には日韓人の交流を求めています。頭で相手を理解するのではなく心で相手を感じる場なのです。それはまさに「文化は水のように流れ、水のように混ざり合う」という 趙允 旋文化体育観光部長官の祝辞そのものです・・・

●来年以降へのおまつり

  • ・この「おまつり」は単なる文化交流にとどまらず地方自治体交流、青少年交流、飲食物、遊戯などの各種文化交流を含む「複合文化交流」です。
  • ・両国民がお互いの文化や歴史や生活風習などを理解し合う場なのです。
  • ・政治・外交問題とは一線を画す催しですが、両国間に長く漂う政治・外交問題にヒントを与える催しでもあるのです。
  • ・両国の間にどんな悪天候があっても、常に進むべき方向を教えてくれる灯台の光のような「日韓友好のシンボル」としてまさにこの「おまつり」があるのです。
  • ・今年に引き続き、多くの若者に「おまつり」の意義を伝承し、継続させていきたいと念じています。

改めて、「おまつり」にご協賛、ご協力いただいた皆様に感謝するとともに、これからも引き続きご理解とご支援をお願い申し上げる次第です。


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